やる気が起こらないときの打開策には、「一点突破方式」という方法もあります。これは、徹底的にひとつのことを勉強することで、その周辺への興味を広げていくという方法です。前述のスパイラル方式とは、まったく逆のアプローチになります。私がこの方法に気づいたのは、受験時代のある経験からです。その当時、私は世界史が大の苦手でした。しかし、私立文系の難関を受験するには、世界史は必須です。そこで、親戚に歴史がものすごく得意な人がいたので、彼にどうすれば世界史が好きになれるのかを訊くことにしました。そのとき彼がすすめてくれたのが、中央公論社(当時)の『世界の歴史』でした。これは全30巻もある大著だったのですが、アドバイスにしたがって、まず手はじめに「イスラム文明」を読みはじめることにしました。読みはじめてみると、小説仕立てになっていて、これが非常に面白い。ぐいぐいと引き込まれるようにして読み、気がつくと「イスラムならだれにも負けない」というくらいの知識が身についていました。この1冊を徹底的に読んだ甲斐があったのでしょう。テストでも、イスラムの部分はつねに満点。これが自信になり、「今度はヨーロッパが知りたい」「アメリカが知りたい」と、興味が次々に広がっていき、次第に世界史が好きになっていったのです。このように、ひとつのことを徹底的にやるのは、時間がかかってムダなように見えますが、じつは物事を習得する突破口になります。ひとつのことへの強烈な興味がネットワーク効果となって、次から次へと「もっと知りたい」という征服願望を生み出していくのです。勉強でやる気が出ないとき、「あれもやらなければ、これもやらなければ」ではますますやる気は萎えていきます。そんなときは、何かひとつに集中して勉強してみましょう。それが、そのほかへのやる気を回復するきっかけとなります。ひとつのことを徹底的に勉強することで、ほかへのやる気も広がっていく。