エジソンが試作した電球は1881年のパリ国際電気博覧会博覧会に出展された。当時の電気を使った明かりは炭素アーク灯だったが、新たに登場した電球は評判を呼んだ。ヴォルフガングーシヴェルブシュはつぎのような新聞記事を伝えている電灯といえば、ふつうわれわれはまぶしいほど明るく、ぎらぎらして目が痛くなるような明かりを想像する。ところがここにあるのは、いわば洗練されていてわれわれの習慣に順応した明かりなのである。その光は、ガス灯に似ている。それでいて、ガスとはまるでちがう。この電灯は、住居に余塵を残さない。空気を汚染する炭酸ガスも一酸化炭素も、絵や布地を巻き添えにする硫酸もアンモニアも残さない。空気の温度も上がらないので、ガス灯のように、暑さで気分が悪くなったり疲れやすくなったりすることもない。爆発や火事の危険性にも終止符が打てる。屋外の気温や導管の圧力にも左右されることはない。季節に関わりなく、つねに安定した光を放ち水中でも空中と同じように輝く。この電球への賛辞に満ちた記事は、アーク灯やガス灯が結局は電球に置き換えられたほんとうの理由と、エジソンが徹底的にガス灯をモデルにして、その欠点を電気のエネルギーで解決しようとした最初のコンセプトが正しかったことを証明している。エジソンが炭素フィラメント電球を実用化したとはいえ、エジソンの会社だけが電球を製造していたのではない。