年をとったからお洒落に関心がなくなるなんて、実にもったいないと思う。お洒落は、独身時代に彼女を惹きつけるためだけのものではない。一〇代には一〇代にふさわしいファッションがあるのと同様に、五〇代には五〇代、六〇代には六〇代にふさわしいファッションや流行があってしかるべき。それなのに、日本では一〇代、二〇代がファッションの中心であり、上の世代といっても、せいぜい四〇代までのファッションしかTVや雑誌もとりあげない。五〇歳を過ぎると、マスコミが提供する話題は、途端に、健康の話、旅やグルメの話、最後は年金や退職金、利殖の話などにシフトしてしまうのは、実に悲しい。年をとったからといって、装うことに関する興味をなくす必要はない。いや、むしろその逆。年をとったからこそ、家族や周囲や、そして異性に対しても魅力的でありたいと思うのが、健康な男盛りの証ではなかろうか?私は、コピーライターや雑誌の服飾記者として二〇年以上、ファッションの仕事に携わってきた。その間、さまざまな分野の、人生の先輩たちに会う機会に恵まれた。そんなとき、私は必ず彼らに関心のあるお洒落について話を向けてみる。すると「でも、私のようなおじさんに似合う服なんてありませんから」と後ずさりする人が大勢いるのだ。確かに、今まで日本のマスコミはオーバー五〇世代のファッションに無関心だった。お父さんたちは服に興味がない人、お洒落に無頓着な人、みたいな偏見を持っていたと思う。雑誌の企画会議でお洒落のページを提案しても「ファッションの企画は(お父さんには)人気がないから……」と一蹴されてしまうことがしばしばだった。でも、本当だろうか?オーバー五〇世代がお洒落に関心がないというのは本心だろうか?私は違うと思う。今までマスコミが勝手に、オーバー五〇世代にファッションの情報は必要ない、と決めつけていただけなのである。
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