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条件がいまだ整わない結婚

アメリカでは貧しい家庭の子どもの多くは義務教育をすませるとすぐ就職する。アイデンティティも定まらないまま食うのに追われて就職するために、成人となってわが身を振り返り、もっといい職に就きたかったと後悔する例が多いと聞く。そんなことから職業心理学では、あまり若いうちからアイデンティティとしての職業を決定せずに、自分の能力や興味のもち方が十分に確認できてから選ぶほうが後悔する率が少ないと教えている。同じことは結婚にもいえるのである。アイデンティティの確立と心理的離乳という二つの条件がいまだ整わない結婚は、将来後悔することになる危険をはらんでいる。さらにまた、年若くして所帯をもつことにより、女性は妻、母、嫁、社会人という役割を、男性は夫、父、婿、社会人という役割を新たに引き受ける。しかし彼女(彼)には、急激に増えた役割を十分にこなすだけの能力はまだ身についていない。それが負担となって結婚が長続きしない。これは社会学の説明するところである。もっとも、だから逃避型結婚はダメだと切り捨てるつもりは私にはない。運悪く妊娠して義理で結婚してしまった人たち、家がおもしろくないからといって家を飛び出して結婚して苦しんでいる人たちに私が送りたいアドバイスはこうだ。苦しくなったときには、自分一人で解決しようとせずに、いろいろな人たちの知恵を借りなさい。長い人生においては、人の力を借りなければ突破できないこともある。人に甘えることをためらってはならない。親に逆らって家を出た人は、今さら親に甘えることなどできないという気持ちが強いかもしれない。だが親には、子どもが頼ってきてくれて、それをきっかけに再び親子の絆を取り戻せればと願う心理が働くものである。自分のためにも親のためにも、親に甘えることをためらわないほうがいいこともあるのだ。